おススメオンライン小説

管理人が感想を書 かせていただいたお話を紹介させていただきます。


『秋ノ空ノ下』

サイト名・アスタリスク * 管理人 中村陽介様

長時間かけて読むにふさわしい内容の小説を拝見で きて、非常にうれしく思ってます。

元々、少年達の生き生きとした生活の中の汚い部分 (語弊がありますでしょうか)、嫉みや嫉妬、独占欲や欲望など、そういった部分を書くのが好きな私ですの で、この小説は非常に楽しんで読むことができました。

少年達は美しい部分を沢山持ってます、ですが、そ れだけではない。
醜さや汚い部分を持って初めて輝ける、この小説を 読んでそう感じました。

まず、キャラクターですが、身近に感じることがで き、尚且つ憧れを持てるという点で、非常に作りこまれてるなぁと感じてます。
作者様は、キャラをしっかりと決めて動かしている のでしょうか、それとも、キャラが自然に動き出すのを待つのでしょうか。
どちらにせよ、非常に好感を持てるキャラクターだ と感じています。

主人公はもちろん、脇役のキャラクターが魅力的で す。主人公を引き立て、それでいて自らも輝きを放つ。そんなキャラたちだと思います。

特に瑞希君と俊之君は私の個人的なお気に入りキャ ラです。
この二人がメインで二人のことをもっと掘り下げた 話も読んでみたいな、と思っています。

主人公の二人ですが、いい感じに凸凹した二人だと 感じています。お互いに頼りつつ、助け合いつつ、それでいて依存は拒否する。

頼ることと依存は別のもの、時には依存してあげる ことも相手の助けになる、二人の関係が進むためには、それも必要なことだよ。
二人には、こんな言葉を送りたくなりました。

ストーリーです が、読者を飽きさせない構成だと思 います。長編につき物のだらだら感がなく、楽しんでページをめくることができました。
イベントも、あったよなぁ、こんなの。と思わせる 展開で少し懐かしさに浸ってしまいました。

中学生と言う敏感な時期を色あせない視点で描き出 した作者様の文章は、非常に高レベルだと思います。

少年達の心の葛藤を描き出し、所々でクスリ と笑わせてもらえるこの作品を読めたことは、非常にうれしかったです。
読了後に暖かい気持ちになれたのは久々のことでし た。

いろいろ複線もあり、これからの展開が非常に気に なりますが、願わくば読み終わった後に心が暖かくなれるような作品を、これからも書き続けて欲しいです。
これからの展開に期待しています。


『消えゆく世界』
サイト名・パノラマ二進法 管理人 中井かづき

16歳の少年(少し大人びていますが、王家の方ですから納得です)を見事に書き出しています。

物語の出だしから作者様の力量を感じました。
最初の文で読者を惹きつけ、その後の物語の説明へとうまく流れています。沢山の文章をお書きになっているようで、流石に上手だなと感じました。

ストーリーは王道的ですね。
少年主人公は初めてとの事でしたので、あえてそうしたのでしょうか?ですが、世界観の構築、風景の描写などで世界を身近に感じることが出来ました。

ラストもよい終わり方だったと思います。
完全ハッピーエンド、めでたしめでたしよりも、ずっと深みがあって、二人の今後に幸あらんことを祈りたくなります。

さて、概観はここまで。

主人公の少年に絞って感想を。全体的に好意を持てるキャラクターだと思います。
割と強く信念を持たせているとのことですが、信念というより強い責任感を感じました。
16歳の初々しさが女性経験のなさで表現されていて、ただ熱血、自分の道を突き進むという主人公よりも、一段と人間らしく、また、少年らしい未熟さが出て いると思いました。

私は、少年キャラは完璧じゃないところが魅力だと感じでいます。そこを補って、未熟ながらも頑張って、力不足ながらも自分のできることをやり遂げる。
シェスキド君はそのようなキャラだと感じています。

『熱血!汗!涙!感動!成長!』というのはお決まりのパターンですが、あまり魅力のあるキャラとはいえないと思います。
むしろ、あまり表に出したくない部分、例えば欲望とか、自己顕示欲とか、独占欲とか、幼さゆえの残酷さとか、そういった汚いものを抱えながら、それによっ て輝く、それが少年キャラの魅力だとおもいます。

シェスキド君には容姿のコンプレックスがあります。
自分では特長と思っていても、他人には特徴でしかない。誇りを持ちつつも、どこかでコンプレックスや悲しみを秘めている。

恋愛に関しても、今一歩踏み出せない。
16歳だから、男としての本能はある、でも、どうしたらよいかわからない。
愛しいと思う気持ちがあるばかりに、彼女に対して臆病になる。

完璧でなく、どこにでもいるような少年。
その少年が、王家の誇りを持ち続けながらも、一人の少女を愛しいと思い、自分の出来る限りのことをやろうとする。
短編で終わらせるには惜しい、魅力的なキャラ、そしてお話だと思います。

完全ではない一人の少年を作り上げた作者様の技量は素晴らしい思います。
ぜひ、これからも少年キャラを主人公にしたお話を書いてみて欲しいなと思います。

これからの作者様のお話に期待しております。(出来れば続編、又は関連する話も……)


『約束の場所』

サイト名・少年銀河電燈缶 管理人 石田椋様

一番の感想は、いい意味での期待の裏切りをうけ た、と言う感じです。

読み始めて最初に思ったのは、「これは……近未 来?ファンタジーじゃ……」と言うものでした。
ファンタジー小説で私が気になってしまうのが、さ りげない風景描写。これがないと私はその世界にハマることは出来ません。
『約束の場所』 では短い文章の 中で、その世界の風景が想像出来て、文章が読みやすく組み立てがうまいなぁ、と感心していました。

ここからネタばれになります。

しかし、これがまったくの早とちり。

読み進むにつれて、キャラのセリフから、ゲーム等 のファンタジーらしくないものが……。ログオフと言う単語を聞いて、思わずハッとしました。
なるほど、だから近未来。
恐らく、読み始めた読者は半数以上がだまされるの ではないでしょうか。まぁ、私が鈍いだけかもしれませんが……。

そして、多人数プレイオンラインゲームの既存のス トーリーである『クリスクロス』や『.hack』と一線をなす設定。
オンラインゲームを舞台にした小説は増えてます が、このような設定は見たことががありませんでした。

第一に、ケータイのチェーンメールを使うことに よって、誰でも簡単にプレイできないと言うこと。
第二に、長時間のプレイは不可能と言うこと。
第三に、物を持ってこれること。

現代の電子機器の設定や問題などをうまく生かして いて、非常に面白かったです。

文章はきれいで、引き込まれていくようですし、 キャラのセリフも流れるようで、見習いたいなと感じています。
まだ進み具合は半分程度ということで、これからの 展開が非常に気になると思いました。

キャラクターに関しては、まだいかんせん掴みきれ てないのが現状なんですが、個人的にはアキラ君とエン君がお気に入りです。
エン君はこれから出番が増えるようなので、期待し ております。


『守護天使リリィ』
サイト名・守護天使リリィ 管理人  Sasayan様

まず設定について。
天使、悪魔についての豊富な知識に感服いたしました。
私も自作の小説で天使や悪魔の伝説を使用しているのですが、自分の知識のなさが恥ずかしくなりました。
物語に向かう前の姿勢から、いい小説は生まれるんですよね。

キャラクターについては、当初、はっきり言ってしまって私の苦手なジャンルに入ってました。
かっこいい美男美女、ダメなんです。
キャラが全員大人、苦手なんです。

そんなわけで、読めるかなぁ、と不安になったのですが、心配要りませんでした。
キャラが容姿ほど完全な者たちではない。それがよかったと思います。
弱きものが強きものになるため努力する。天使であるリリィにしても、気弱になったり恥じたりする。
それが私のキャラに対する固定観念(苦手観念)を吹き飛ばしてくれました。
この小説に限って言えば、キャラが大人だらけでも大丈夫です。
主人公の巧と共に友人である良平にも非常に好感を持てました。

ストーリーについてですが、大筋としては王道だな、と感じています。
突如力を与えられた人間がそれを受け入れ、仲間を増やしながら世界を救う。
王道と言うのはそれだけで不利になります。そこで話にどれだけ個性があるかで面白さが変わってきます。
今後、どれだけ独自性のあるストーリーを展開なされるのかを期待しております。

もっとも、キャラ、設定が優れているので、Sasayan様の文章力なら問題ないかと。
私は単に意外性という言葉が大好きなだけで、きちんとした構成の王道ストーリーが好きだと言う方もいらっしゃいますから、それはその人個人の好みだと思い ます。

次に文章についてですが、冒頭で書いたとおり非常に高レベルだと感じてます。
設定の重厚さに負けず、キャラの心情を鮮やかに抜きだした文体は、非常に読みやすく、また世界へと没頭させてくれます。
また、一つの話の容量も丁度良いかと思います。

これからの展開に期待しています。